みなさん、こんにちは!
ご無沙汰しております。
今回は、『ペットの避妊・去勢手術』についてお話してみたいと思います。
手術には多くのメリットが
ワンちゃんやネコちゃんは大昔から私達人間と共に暮らし、癒しを与えてくれる良き伴侶です。
この新しい家族を迎えた時、多くの飼い主さんが一度は悩む問題が避妊・去勢手術をするか、しないかではないでしょうか?
健康な身体にメスを入れることを躊躇するのは誰もがそうでしょう。
しかし、手術をすることによって多くのメリットが得られます。
今回、避妊・去勢手術に踏み切ることに迷いを感じている飼い主さんが不安をなくし、手術に向けて一歩前進できる内容を、そしてデメリットな部分も隠さずお話して、手術に対する理解がより深まるように出来ればと思います。
避妊・去勢手術は、もともと望まれない妊娠による不幸な子犬・子猫を増やさないことを目的に行われてきた手術ですが、最近では、将来的に起こり得る性ホルモンに関連した疾患を予防することや、性ホルモンによって誘発される性行動の防止などの理由の為に手術を行うのが一般的になっています。
去勢手術とは雄の精巣を摘出する手術で、避妊手術とは雌の卵巣のみ、もしくは卵巣・子宮の両方を摘出する手術をいいます。
避妊・去勢手術のメリットですが、望まれない交配による妊娠を避ける、性ホルモンに関連した問題行動が抑制できる、性的ストレスから解放される(例えば出血・鳴き声などの発情徴候、オシッコを噴射するスプレー行動、攻撃性や逃走癖、マウンティング行動など)、性ホルモンに関連した疾病の予防がかなり出来る(例えば雄では前立腺肥大症、精巣腫瘍、肛門周囲腺種、会陰ヘルニアなど。雌では乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍など)などが挙げられます。
デメリットは? でもペットのためにはぜひ
デメリットですが、避妊・去勢手術は全身麻酔を必要とするので、麻酔に対してのリスクがゼロとは言えません。
麻酔薬や縫合糸に対してアレルギーを持っていたり、パグ・シーズー・フレンチブルドッグなどの短頭種(特に肥満している場合)では、麻酔後に気道が閉塞してしまう危険性があるため、慎重に行う必要があります。
手術後に体重の増加が認められるワンちゃんやネコちゃんが多く見られます。
性ホルモンが分泌されなくなることにより発情に係わる活動がなくなり、基礎代謝率が減少し、カロリー要求量が減ります。
今まで通りの食餌量を与えてしまうと太ってしまいます。
ただし最近では、避妊・去勢したワンちゃんやネコちゃん用フードやダイエットフードがあり、術後の肥満防止が出来るようになっています。
また、避妊手術後の尿失禁(尿漏れ)が問題になることがあります。
エストロゲンというホルモンが分泌されなくなるため、尿道の筋肉が緩んでしまい、リラックス時や過度の興奮時に無意識に尿をもらしてしまうことがあります。
ただし、これらのリスクは肥満以外それほど高率に発生するものではありません。あまり恐れずに、それ以上に手術のメリットが高いので、ぜひ避妊・去勢手術に踏み切って欲しいと思います。
しっかりした術前検査(血液検査など)を行えば、さらに安全性は高まります。
最後に避妊・去勢手術を行う時期ですが、若い時であれば皮下・腹腔内脂肪が少なく手術が安全に行える上、麻酔の覚醒も早く動物の負担は少ないので、若い時期(1歳まで)の手術をお勧めします。
それでは、また…。
Have a わん&にゃんderful day !
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■筆者紹介
永田浩之
獣医師
のっぽ動物病院 院長
神奈川県獣医師会湘南支部長
湘南臨床研究会会長
鎌倉市生まれ
神奈川県立七里ガ浜高等学校卒業
北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
北里大学大学院修士課程獣医畜産学専攻修了
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