湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生がおすすめする絵本のコーナー。
今回は思春期の子ども達におすすめの絵本をご紹介します。
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春分の日を迎え、桜の花も開花しはじめました。
春分は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされていますが、子ども達にとって、春は入園、入学、学年の進級….と人生の節目にあたる時期と言えます。
また、春の字が入る「思春期」は、子どもが自分という存在を深く考える時期です。それは、まるで蛹の中に入るように「じぶんってなんだろう?」「いのちってなんだろう?」「自分はどのように生きたらいいの?」「自分らしさってなに?」と真剣に向き合う貴重な時間です。
発達心理学者のエリクソン氏は、この「自分とはなにものか?」という概念を「自我同一性(アイデンティティ)」という言葉で表現し、8つの自我発達の段階のうち、特に思春期(12-18歳)に訪れるとしています。
この時期は心が揺らいだり戸惑うことも多く、エリクソン氏は「自我同一性の危機(クライシス)」と呼んでいます。
しかし、この時期は、自分探しの中で自分と向き合い、子どもから大人へと変わっていく大切な時期でもあるのです。
今回は「自分」と向き合う、思春期の子ども達におすすめの絵本を紹介します。
『ぼくはにんげん おもいやりってだいじだね』
作: スーザン・ヴェルデ 絵: ピーター・レイノルズ
訳: 島津 やよい 出版社: 新評論
【出版社から】絵本のドリームチームがおくる 希望にみちた人間讃歌。 シリーズ累計100万部 世界的ベストセラー日本初上陸! タイトルを見て、「なにをあたりまえのこと言ってるの?」と思われたかもしれません。でも、ほんとうにそれは「あたりまえ」のことでしょうか。「人間であること」「人間として生きること」とはどういうことなのか、こどもに訊かれて即答できるおとなは、はたしてどれくらいいるでしょう? 新進気鋭の書き手と売れっ子画家がタッグを組み、このきわめてシンプルでむずかしい問いに挑んだのが本書です。文章を書いたのは、マインドフルネスとヨガのインストラクターでもあるS・ヴェルデ。彼女の才能に惚れこみ、みずから絵を担当してその創作活動をもりたてるのが、世界的ベストセラー『てん』や『ちいさなあなたへ』で知られるP・レイノルズです。 本書では「人間性」を擬人化したキャラクターである「ぼく」が、ときに傷つきながら、ものごとをつねに思いやりと共感の視点からとらえなおすことで前進する様子が描かれます。ずばりと本質をつく簡明な文章と、絵の力強い描線・炸裂する色彩がみごとにマッチし、人として生きること、たがいにささえあうことの喜びと希望が高らかに謳いあげられます。いっぷう変わっているのが、巻末にかんたんな瞑想エクササイズのガイドがついていること。そのためかおとなにも大人気で、刊行されるや否や50万部を売り上げ、ニューヨーク・タイムズの週間ベストセラーリストで1位を獲得しました(2018年10月21日、「こども向け絵本」の部)。 なお、本書は「世界のなかで、人としてすこやかに生きること」の意味をこどもといっしょに考える絵本シリーズの2作目にあたります。ほかに「愛」「平和」「ヨガ」「行動」を主題とする4作が発表されており(すべて未邦訳)、世界中で幅広い年齢層の読者を獲得、各国語に翻訳され、シリーズ累計100万部を記録しています。さらに近々2作が刊行予定です。 史上最悪の厄災にみまわれ、縮こまってしまいがちないまこそ、ご家庭や施設で本書をひもとき、こころとからだをほぐしていただけたら幸いです。(しまづ・やよい) |
『いのちのひろがり』
文: 中村 桂子 絵: 松岡 達英 出版社: 福音館書店
【出版社から】 庭にいるアリとわたしたち人間は仲間です。魚も、草や木も、キノコやコケ、細菌も、すべて仲間です。なぜかといえば、地球上にいるすべての生きものたちのはじまりは、もともと38億年前に生まれた、ひとつの細胞だからです。つぎつぎと仲間を生み出しながら、わたしたちへ受けわたされてきた「いのち」の物語を描きます。 自分で読むなら 小学中学年から |
『人間』 加古 里子 文・絵 出版社: 福音館書店
【出版社から】生物の発生からはじまる「人間」の総合形 人間とは何で、なぜ生まれてきたのか、そしてその身体はどのように作られているのでしょう? 人間は地球に現れた生物の一つであり、その地球は宇宙の誕生によってもたらされました。そんな人間という生物が出現した背景や歴史から始まり、生命の誕生や骨・筋肉・内臓・脳神経など身体各部の機能、そしてその機能を持った人間が生み出した活動と文化史にいたるまで、複雑で多岐にわたる内容を、子どもたちにむけて簡潔明快に示しました。 読んであげるなら 5・6才から 自分で読むなら 小学中学年から |
『ようこそ!あかちゃん~せかいじゅうの家族のはじまりのおはなし~』
レイチェル・グリーナー (著) クレア・オーウェン (絵)
浦野匡子、艮香織 訳・解説 出版社:大月書店
もうはぐらかさない、ぼやかさない!受精から出産まで、科学的説明と 人権・多様性をふまえた描写で低学年から読める性教育絵本。【出版社から】 |
この絵本は、イギリスで5歳から7歳の子ども達を対象につくられた本です。いのちがうまれてくることへの関心は、5歳ごろからあると言われています。
『性』は、『心が生きる』人間が人間らしく生きること(人権)にかかわることです。
誤った性に関する情報があふれる中、子ども達が性に関して学ぶ権利を保障するためにも、まずは大人が脳内を変換するべきです。そういう意味でも、大人の保護者の方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
私も人権としての「性」を伝えていきます。
これらの本は、「自分とは何者か?」と向き合う思春期の子ども達は自分で読めますので、心が揺らぎやすいこの時期の子ども達にとってヒントになり、自分や他人を大切にできる大人に成長するきっかけになってくれると嬉しいです。
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ーーー筆者紹介ーーー 宗藤純子(むねとうじゅんこ)
藤沢市在住30年。都内私立幼稚園教諭・主任9年を経て保育士・
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・鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」
・「子育ては個(性)育て。己育て」人間教育を軸に行政・
幼小中学生、年齢に応じた「いのち・こころ・からだ」
・保育者向け雑誌「POT」
・株式会社OfficeLadybird代表取締役
◆Web サイト:http://junkomuneto.com
◆子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳
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