【藤沢の昭和を探してみた】フジサワ名店ビル第3章:上の階探検その2
名店ビルの不思議空間
名店ビルには、不思議な世界に迷い込んだような一角があります。
昭和を飛び越した和空間、「かみこや」
4階にある「神子屋」(かみこや)。細長い店に足を踏み入れると、昭和を飛び越して明治、大正にタイムスリップしたかのようです。店名の紙子(紙衣とも書く)は、和紙をこんにゃく糊でつなぎ合せ、柿渋を塗って乾燥させもみほぐしてから縫った和服。漢字だと読めないからと、昭和52年の開店当時から掲げている看板には「かみこや」と筆書きしてありました。
紙なのに服として着ることができるんですか?
「紙で作られているとはいえ丈夫で、古来日本では衣服として使われてきたんですよ。お店では紙子のネクタイ、羽織り、座布団なども販売しています。もちろん職人が作った純日本製です。現在ではその職人さんも高齢化、後継者がいなくなっているといいます」
ビルが建ってから数年後に出店。最初は和紙と布の切り売りを行っていたようです。その後和雑貨や民芸品を扱うように。桐タンス、背負子、囲炉裏と自在鉤、行灯…いにしえの時代アイテムが並ぶ歴史博物館みたい。かと思えば、猫招きや動物の癒しグッズ、外人さんが喜びそうな和風テイストの商品も。新型コロナ前は外国人客がお土産でたくさん買って行ったそうです。
どんなものでも作れる、オリジナルメイドの革製品「Kei」
エレベーターでは行けない、不思議なフロアM2階があります。以前はいろんなお店があった階ですが、今は1軒のみ。ビル入り口のエスカレーターから上がったコーナーにある革製品の店「Kei」。広いスペースの真ん中にたたずんでいます。
「うちは革製品のオリジナル、オーダーメイドの店。イメージがあればなんでも作れるよ」見本があればそれをもとに。なくてもお客の話を聞いてさっと型紙を作り、1、2日くらいでどんな革製品も作ってしまうというショップオーナーのおばちゃん。お店を始めて40年。話し出すと止まらないそうです。
「バッグに愛猫を描いてくれと言われたから、下書きも無しに筆書きしたよ。まさに世界に一つだけのオリジナル」。製品の写真を見せてもらうと、さながら芸術作品の域!
お店では、手作り革製品教室も開催していて、定期的に生徒さんが集まり、自分の好きなものを作っています。
「普通の教室は作るものが決まっているけど、ここは作りたいものを作るので、みんな違うもの。材料の革やパーツも自分の気に入ったものを選べるんです」と3つ目のバッグ製作に勤しむ生徒さん。最後に教室にある革専用ミシンで縫って完成とのことです。
しばし、異空間の迷宮でトリップ!?
次回は地下のフロアに潜入!