動物病院院長、湘南の頼れる獣医師”のっぽ先生”による ペットの健康管理についての連載コーナー。ペット好きなら知っておきたい獣医学のお話です。
Vol.01「ワンちゃんの熱中症」はこちら!
Vol.02「子犬の社会化」はこちら!
みなさん、こんにちは!
お元気ですか?
今回は、ワンちゃんの皮膚病 “マラセチア皮膚炎” について、お話してみたいと思います。
みなさんのワンちゃんに、「皮膚がベタベタしているにもかかわらず、フケがたくさん出て痒がっている。」「慢性的な皮膚病。」で、お悩みではないでしょうか?
マラセチアってなに?
マラセチアとはカビの一種で、酵母菌に属します。
普段はワンちゃんやネコちゃんの皮膚の表面にいる常在菌です。皮脂腺から分泌される脂質を栄養分として暮らしています。
しかし、
免疫力が低下する、脂質が過剰に分泌されてしまう、皮膚表面の湿度が上昇する、皮脂の成分が変化する、角質層が欠損してしまう、といったことが複雑に絡み合って皮膚のバランスが崩れて、皮膚炎を起こす病原菌となってしまうのです。
ワンちゃんもネコちゃんもかかるの?
ネコちゃんでは珍しいのですが、ワンちゃんでは脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎にも関与しており、外耳炎の原因の7~8割を占めると言われています。
マラセチア皮膚炎になるとどうなるの?
マラセチア皮膚炎になると、皮膚が脂っぽい状態になり、毛並みもべたつきます。
フケが出たり、痒みや脱毛を伴います。
耳の場合、べとっとした茶褐色~黒色の発酵臭のする耳垢が出ます。
皮膚炎が進行して慢性化すると、掻き過ぎで皮膚が黒ずんだり、分厚くなったり、皮膚の表面に苔が生えたようになってしまいます。
他の細菌が二次感染を起こすと症状はさらに悪化し、治療には時間がかかり、簡単には治らなくなります。
よく見られる部位は、外耳道、唇周囲、下顎、脇の下、そけい部(太ももの付け根)、しっぽの付け根、指間などです。
治療はどうするの?
ミコナゾールなどの抗真菌薬や硫黄、セレンなどを含む薬用シャンプーで患部を清潔に保ち、菌が増えにくい環境を作ることが重要です。
同時に原因として考えられる基礎疾患(脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、甲状腺機能低下症など)がある場合、薬を飲んだり、食事療法、生活の見直しなどによる体質改善も必要になってきます。
外耳炎の場合も耳の中を清潔に保つことが大切です。
耳垢は洗浄剤できれいに取り除きます。
耳毛の多いワンちゃんは毛を抜いて通気をよくしてあげて、耳の中に湿気を残さないように工夫しましょう。
抗真菌剤入りの点耳薬を入れて、原因となるマラセチアを殺菌します。
マラセチアが過剰に見つかるということは、何らかの要因により皮膚のバランスが崩れていることが考えられます。マラセチアだけの問題であれば比較的治療に反応しますが、基礎疾患があったりアレルギー体質だったりすると、マラセチア以外のケアも必要になってきて、治療にはかなり時間がかかりますので、獣医師とよく相談して根気よく治療を行ってください。
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それでは・・・
Have a ワンderful day!
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■筆者紹介
永田浩之
獣医師
のっぽ動物病院 院長
神奈川県獣医師会湘南支部長
湘南獣医師会副会長
鎌倉市生まれ
神奈川県立七里ガ浜高等学校卒業
北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
北里大学大学院修士課程獣医畜産学専攻修了
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