動物病院院長、湘南の頼れる獣医師”のっぽ先生”による ペットの健康管理についての連載コーナー。ペット好きなら知っておきたい獣医学のお話です。
Vol.01「ワンちゃんの熱中症」はこちら!
みなさん、お元気ですか?
第2弾となる今回は、「子犬の社会化」 についてお話してみたいと思います。
ワンちゃんにも柔軟な心を持つ、生後3~14週の『社会化期』という時期があります。
色々なものに慣らすために適した時期で、裏付けるように、子犬の脳組織の発達時期にも一致しています。
この時期に子犬は親犬や兄弟犬との絆を結びますが、
同時に一緒に生活していく人間との絆も形成していきます。
社会化期の子犬は周りの環境にも順応しやすいので、
人間社会で遭遇する様々な刺激(掃除機、バイク、自転車、自動車、花火など)に触れさせることで、
過剰な反応を起こさない様になります。
これは、その後の人間社会で幸せに生活していくために、とても大切なことになります。
子犬が家に慣れたら、少しずつ外に連れ出す機会を作って様々な経験をさせましょう。
最初は抱っこして家の周囲を歩いてみます。
主食のドックフードの一部を持参し、まず飼い主さんから与え、
喜んでフードを食べるようになったら色々な人からも与えてもらい、道で人と会うことは楽しいことだと学習させます。
こうして知らない人に対して怖がったり吠えたりしないように社会化のトレーニングをしましょう。
ワンちゃんは、場所との関連づけをしやすいので、
決まった場所だけだと他の場所では警戒するようになることもあります。
商店街や子供のいる公園、駅など様々な場所で行うように心掛けてください。
また、食事中や遊んでいる最中に
録音しておいた刺激になる音を何気なく鳴らして聞かせたり、
実際に自転車を見せたり、
自動車に乗せたり、
人混みの中を歩いてみたりと、ワンちゃんが人と暮らす上で遭遇する日常的な刺激に慣らしてみてください。
ただ、その刺激が子犬にとって不快なものである場合、逆効果となるため無理強いは絶対にしないことが大切です。
そういう場合は2回目の時に大好きなご褒美を持参し、
飼い主さんは普通に明るく振舞い、少しずつその場所に慣らし、落ち着いたらご褒美を与え、
子犬にとって楽しい経験となるようにします。
社会化のポイントは楽しく過ごせる機会を与えてあげることです。
しかし、この子犬の社会化期の重要性とは裏腹に、子犬をワクチンプログラムが全て終了するまで外に出しても良いのか?という問題も考えないといけません。
外に出さないことは伝染病から子犬を守る意味では良い方法であっても、子犬の精神的な発達という観点からは好ましくありません。
プログラムの終了を待ち、社会化期を過ぎてしまった子犬を強い刺激のある場所に連れて行くと、その刺激に対して恐怖心を持ってしまう危険性があります。
社会化の大切な時期にうまく周囲の環境に順応させることが出来なかった子犬は興奮して臆病な成犬になりやすく、
後に様々な問題行動を起こしやすいことが知られています。
適切な社会化のために、子犬が家に慣れ元気で食欲もあれば、出来るだけ早い時期から抱っこをしてのお散歩は、しつけのインストラクターも勧めています。
最後に、社会化の話とは別に、この時期の子犬と生活する上で十分注意して欲しいことがあります。
飼い主さんの足元にいた子犬を踏んでしまったり、ドアに挟んでしまったり、抱っこしていて落下させてしまったり等の事故です。
常に子犬に意識を向け、子犬目線で接する様に心がけてください。
また、子犬の身体中どこでも触れておくようにすることは、
ブラッシング、足ふきや爪切り、さらには動物病院での診察や治療、自宅での投薬等の際にとても必要なことになりますので、子犬のうちから積極的に行ってください。
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それでは、今日もよい一日を!
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■筆者紹介
永田浩之
獣医師
のっぽ動物病院 院長
神奈川県獣医師会湘南支部長
湘南獣医師会副会長
鎌倉市生まれ
神奈川県立七里ガ浜高等学校卒業
北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
北里大学大学院修士課程獣医畜産学専攻修了
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