御菓子処 丸寿
季節を目と舌で楽しめます
和菓子のこと、丸寿さんに聞いてみよう
問題です。和菓子と洋菓子の違いって何でしょう?
市内で3代目として丸寿和菓子店を営む岡崎秀一さん。38年間の和菓子づくりの傍ら、市内さまざまなイベントの仕掛け人としても活躍。先日リモートで行われた「トリプル成人式」でも実行委員長補佐として、ご自身の還暦も盛り上げました。
「家業の和菓子屋の道に進んだのは、結構あとになってから。本当はデザイン関係に進みたかったんです」。
そのため、関わるイベントのちらし、ポスターは全て手作り。本業のパッケージやPOPのデザインも岡崎さんの制作です。そのセンスは、オリジナルのお菓子作りにも活かされています。
「当店の代表的商品の『大庭城最中』は、近くにある城址公園に因んで作りました。最初は礎石の形、丸いものだったんですが、それだとお城のイメージじゃない。そこで天守閣をかたどった形にしたのです」。神奈川県指定銘菓の認定も取得、でも大庭城は平安時代の城跡のため、実は天守閣はありません。「そのため、お城マニアの人たちからは、歴史の捏造だと(笑)」。
ここで、岡崎さんの和菓子ウンチクが。
「『銘菓』という言葉は、有名なお菓子のことと思っている人が多いですが、『銘』は名前をきざみつけるという意味があり、オリジナルの和菓子のことなんです」。一般的な菓子名の「お団子」や「どら焼き」に対する言葉で、つまり「大庭城址最中」は丸寿オリジナルの「銘菓」。
和菓子は元来、季節感を色濃く反映するもの。季節ごとに作るお菓子は年間300種類以上になるそうです。今の時期は、桜の葉を練り込んだ桜のケーキや、早春をイメージした「さわらび」、梅の花を彷彿させる「東風(こち)」という名の品も。
「さらに言うと、『こち』と聞いて梅を思い起こすためには、菅原道真の句を知っていることが必要なんです。このように、和菓子の名前には、秘められたストーリーがあったりするんですね」…和菓子をめでるには、教養もいる?
まあ、難しいことは抜きに、季節を映す和菓子は、舌だけでなく、目も楽しませてくれます。今年は新型コロナの影響でお祝いもの関連は壊滅。でも、すごもり需要でお菓子の売れ行きは良いとのことです。
「おまんじゅうの皮とあんこ、どちらが甘いと思いますか」またまた出た岡崎さんのウンチク。あんこかと思いきや、「実は、皮とあんこに入れる砂糖の分量は、同じにしないといけないんです。でないと、浸透圧の関係で水分が移って、皮が硬くなったりあんこがカサカサになったり」
この配分も職人の感覚だそうです。だから、絶妙の配分で作られたおまんじゅうは、日が経っても食感が変わらないとか。
次々に出る和菓子のウンチクですが、では、冒頭の問題の答えは?
バターや生クリームを使うかどうか? 焼いているかどうか?
「答えられた人はほとんどいませんが、誕生した時代で分けているんです。実はまんじゅうとか羊羹とか代表的な和菓子も、日本で生まれたものはなく、もとは全て外から来たものなんですね。
で、和菓子とは、安土桃山時代の南蛮貿易までに入ってきたもの。だからカステラや金平糖までが和菓子です」なるほど。
さらに岡崎先生のウンチクは続きます。続きは、お店に行って聞いてみましょう!
御菓子処 丸寿
〒251-0056藤沢市羽鳥3丁目20-9
電話: 0466-36-7938
営業時間:07:30~19:00
定休日;火曜日