始業4カ月の「こぐまKitchen」、湘南エリアを走り回ってファンも続々
地元の人の暖かさ、つながり感じて
1月、三が日も終わって明日から仕事始めという日曜日。白旗神社境内には、やや人の流れは落ち着くも、まだまだ多くの初詣客が訪れていました。屋台の並ぶ中、行列になっているキッチンカーが。りんご飴専門店こぐまKitchenは、昨年10月から営業を始めました。藤沢市内や湘南エリアを中心に出店、リピーターも増えているとか。
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店長の小熊すずさんは現役の大学4年生。本名が店名になっています。
なぜ、キッチンカーで起業を? なぜりんご飴?…。
いろいろお聞きしたいことがあるものの、ワンオペの小熊さんは大忙し。では日を改めて。「すみません、卒論の提出があるので1月下旬以降に…」
大学生とキッチンカー、二刀流の小熊さんに話を聞けたのは、2月上旬。卒論の合間にも各地で営業。愛知県での出店も決まり、その申請のためにキッチンカーとともに現地へも行っていたそうです。
「白旗神社には元旦から5日まで出店しました。三が日は、やはりお客がすごかったですね。土日を中心にイベントなどへ、定期出店スペースもできました。ランチと違ってお昼時に売れるというわけではないので、1日を通して営業できる場所を探して出ています」
お子さんにりんご飴をねだられて購入したお母さんたちがハマって常連客になることも多いそうです。通っている東京の大学では、経済学を専攻。卒論テーマは「コーヒーの2050年問題」。
「りんご飴とあまり関係ないですね(笑)。
怠惰な大学生活がいやだなーと感じて、自分の今持っている力でできることはないかな、と思っていた時、バイト先のつながりでキッチンカーをやっている人がいて、これだと。ほぼ勢いで始めた感じですね」
それが去年の春ころ。夏に準備をして10月にオープン。
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―なぜりんご飴?
「りんご飴が好きだったからです。ちょっと前からりんご飴がブームになっていて、私もお気に入りのお店に通っていました。お子さんにも人気で回転率もいい。ちょっと調べたら、りんご飴を専門で売っている店が藤沢にはあまりないようだったので。私も、お店を出すのは無理でもキッチンカーならと」
りんご飴というと、縁日で売っているイメージですが、専門店ではカットしてカップに入ったおしゃれなもの。テイストもいろいろ楽しめるそう。こぐまキッチンでもあらかじめ飴でコーティングして冷蔵したりんごをそのままか、カットして提供しています。
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―大変なことってありますか?
「やっぱり出店場所の確保ですかね。お店が出せないと始らないですから。いい場所は人気も高くてなかなか取れない。イベントでは3、4カ月前に締切になるのでそれを探すのも大変です。でも出店を続けているうちにキッチンカー同士の横のつながりで情報が得られたり、声をかけてくださる方も出てきたり」
―今後はさらに出店エリアを広げていく?
「千葉や静岡でもできたらなとも思っているんですが、まずは湘南地区をメインにしたいですね。りんご飴のキッチンカーがこのエリアにまだないこともありますが、生まれも育ちも藤沢なので。のんびりしてて年齢も関係なく暖かく声をかけてくれるし、常連さんやファンになってお友だちみたいに迎えてもらえることも多くて。藤沢に生まれてよかった、って思いますね。
キッチンカーを調達する時も、先輩キッチンカーやバイト先の人のつながりで応援が得られて。クラウドファンディングもやって資金を集めました。初期費用は比較的少なくて始められたのですが、身近に頼れる大人が大勢いたこともあります」
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―ところで、おすすめのメニューは?
「一番人気はプレーンなんですけど、おすすめはミルクティー味、一度食べるとリピートする人多いですよ。
りんごの仕入れは市内の市場と、青森のりんご農家からも直接仕入れています。でも夏とかにも安定的にりんごが調達できるか、やってみないとわからない。ダメな時は季節のフルーツとかで提供することも考えています」
―大学卒業後は、本格的に事業展開を?
「実は、4月から東京の保険会社に就職が決まっているんです。そもそもキッチンカーを考える前に内定をもらっていて。家族はキッチンカーを続けることには何も言わないのですが、ただ一度は会社経験をしておきなさいと。なので、私が営業にあたれるのは土日のみ。平日に手伝ってくれる人の目処もつきつつあります。休みがない毎日になりますが」
春から会社員とキッチンカーの二刀流になる小熊さん、未来は分からないけど、その元気で切り開いていけそうです。
こぐまKitchenの出店スケジュールは、インスタグラムで公開していますhttps://www.instagram.com/kogumakitchen222?igsh=eHp3bjB4azc4Yjlp&utm_source=qr
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