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【はぐくむ・つながる・こどもとおとな】第22話こどもと「対話」してますか?
湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生の子育てコラムです。
今回は、『対話』についてのお話です。
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おとなのみなさん!ちゃんと話し合っていますか?
おとなはきちんと「対話」ができているのでしょうか?
子どもたちの声をきけているのでしょうか?
ドキッとしますね。これは7月に公開された豪田 トモ監督・企画・撮影のドキュメンタリー映画『こどもかいぎ 』のチラシのキャッチコピーです。メインの映画館であるシネスイッチ銀座での上映が8月25日までだったので、駆け込みで観てきました!
映画『こどもかいぎ』オフィシャルサイト
トモ監督といえば、うまれるシリーズ 「うまれる」「ずっと、いっしょ」「ママをやめてもいいですか!?」など、家族のつながりや命そのものを見つめるドキュメンタリー映画をつくってきた監督です。
2012年の夏、「藤沢で『うまれる』を自主上映したい!」と思い、いち早く市民会館で上映した熱い気持ちを思い出しました。(今も変わらず、こども達の未来に熱い心で向き合っています!)
『今回の最新作「こどもかいぎ」は、子どもたちが「かいぎ」をする保育園を、1年間に渡って撮影したドキュメンタリー。子どもたちの「かいぎ」には、明確な答えも結論もありませんが、全力で話し合い、遊び、泣き、笑い、成長する姿があります。子どもはそのピュアな眼で何を見て、何を考え、どうやって社会とつながろうとしているのか…。
私たちは目の前のことに振り回されて、普段そんなことに思いを巡らせることはないかもしれません。しかし、正解のない現代社会で、人とのつながりや対話が一層重要になっている今、子どもたちの目線に立って世界を見ることは、実は社会が抱える様々な課題を解決するヒントになるかもしれない。そんな想いと好奇心から、監督とメインスタッフが再集結!とある保育園で新たな取り組みとしてスタートした「こどもかいぎ」を中心に、子どもたちの日常を覗いた世界とは・・・
「どうして生まれてきたんだろう?」
「ケンカしないようにするにはどうすればいいの?」
「宇宙って誰が作ったの?」
「鼻くそって、きなこ味がするんだよ」子どもたちから繰り広げられる奇想天外な発想と、まっすぐな言葉に、思わず笑い、時にハッとさせられます。保育園は多くの子どもたちが初めて社会と出会う場所。 そこで未来の子どもたちは何を考え、無限の可能性をどのように伸ばしていくのでしょうか?いつも全力で、まっすぐな子どもたちの姿には、「答えの無い世界で、私たちはどう生きていくのか」を考えるためのヒントがあふれています。
さあ、いよいよ小さな賢者たちの、世界一おかしくて、世界一だいじな会議、はじまります!引用:「こどもかいぎ」公式HPより
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ずいぶん前になりますが、保育現場にいた頃、あそびのことや行事のこと、友達同士のトラブルがあった時に、「そうだんしよう!そうしよう!!」と言いながら年長児と輪になって、話し合うことがありました。
当時は、1学年35~40人のクラスを2人で担当していましたが、もしこの映画の子ども達ぐらいの人数だったら、子ども達は自分の思いを言葉にして聞いてもらう経験や、他人の意見を聞いて自分も意見を言う経験をもっと積めたのではないかと思います。
日本の保育現場では、一人当たりが担当する人数が多いため、子ども一人ひとりの声を丁寧に聞けない状況にあるように感じます。映画のように、少人数かつ安心できる大人とのつながりのなかで、否定されたり正解や答えを導くだけでない『対話』を重ねられれば、子どもたちの成長の糧になるのではないでしょうか。
また、この映画では、同じテーブルで一対一で対話する5歳の子ども達の様子も記録されています。これは、「ピーステーブル」と呼ばれる素晴らしいプロセスです。
保育の中では日常的に子ども同士の喧嘩が起こります。その時に泣いてしまったり、自分の気持ちを言葉にできずかんしゃくを起こしたり、物に当たってしまったりする子ども達がいます。その子たちをそのままにするのではなく、2人で向き合って、自分の思いを相手に伝えたり、相手の声を聞くのが「ピーステーブル」です。
その心の動きを確かめあうプロセスが大事で、しっかりと保障してあげる場です。
想いを口にできる子もいればなかなかできない子だっています。しかし、子どもは周りを観察して自分が話せる機会をうかがっています。そして心開ける時が来れば、ちゃんと話せるのです。
子ども達が解決していく力。すごいなぁ…。
急がせず待ってあげることも大切ですね。
言葉がなくても、伝えようとする姿もあります。
特に赤ちゃんは泣いたり、笑ったり、目で追ったり、いろいろなしぐさをすることで日々サインを出しています。
非言語コミュニケーションで対話しているんですね。
そして、そんな赤ちゃんに年長児のお子さんが声をかけながらコミュニケーションのお手伝いをする様子は、人としての基本的な接し方だと思います。お母さんやお父さんが赤ちゃんとコミュニケーションをとる時と同じですね。
保育者視点で映画を観ていましたが、『対話』して物事を決めていくのは『民主主義』の基本で、現代の大人たちに問いかけられている気もしました。
映画のなかの子ども達の言葉から、大人が子どもを見るよりも、子ども達は大人のことをよく見ていることもわかりました。ですから、子どもと過ごす大人達が、子どもの声をもっともっと丁寧に聞くことが大切ですね。
「対話」は保育や教育のなかだけのことではなく、家庭でも同じです。
教育者である大豆生田先生と監督の豪田トモさんとの共著のこの本は、保護者の方におすすめです。ご家庭でも子どもとの対話のヒントにしてみはいかがでしょう。
子どもが対話する保育「サークルタイム」のすすめ
大豆生田 啓友(著/文)豪田 トモ(著/文) 発行:小学館
書籍の内容
サークルタイムにチャレンジしてみませんか
いま保育現場でサークルタイムが注目されています。子どもたちが輪になって日常で起こったこと、不思議に思ったこと、行事などについて話し合う活動です。子どもの主体性や協調性、話す力、聞く力、相手を理解する力が育まれるこの対話の時間は、保育者の子ども一人ひとりへの思い、関わりがあってこそ生き生きと展開されます。子どもは自分のことを本気で聴こうとする大人にしか本音を話さないからです。
子どもの対話を実践している4園を紹介。サークルタイムにいつから、どう取り組んでいるのかなどの基礎情報、子どもと保育者の言葉と共に写真を交えた実践記録からどのようなサークルタイムにしたらいいかを探ります。
ドキュメンタリー映画「こどもかいぎ」に登場する子どもの対話をゼロからはじめた園の保育者への取材。豪田監督の「こどもかいぎ」を撮ろうと思ったきっかけ、1年間の撮影を経て膨らんだ子どもの対話への思いにも注目。
「ミーティング」でおなじみのりんごの木子どもクラブ代表・柴田愛子先生と大豆生田先生の対話の力と子どもの魅力についての対談、東大名誉教授・汐見稔幸先生に著者が聞く、子どもの対話の意義と大切さも見逃せません。
(出版社からの紹介)
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また映画『こどもかいぎ』の製作された時期(2018年〜撮影開始)にあたる、2019年秋に同じ名称の絵本『こどもかいぎ』が発刊されました。(※映画との関連絵本ではありません)
こちらの絵本は、ご家庭でお子さんと読んでいただくことで、家庭内の『対話』をすすめるきっかけになりますよ。
絵本「こどもかいぎ」 作: 北村 裕花 出版社: フレーベル館
今日は大事な「こどもかいぎ」の日。議題は「怒られたときはどうしたらいいか」
それぞれが思う、こうしたらいいという意見を出し合います。
怒られているとき、こどもたちから親はこんなふうにみえているのか・・・
こんなふうに思っている子いるよね。と真剣に意見する子どもたちに共感できたり
話は違う方向へ逸れていきますが……
素敵な子ども達の結論はきっと大人の方が笑顔になれそうです
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ーーー筆者紹介ーーー 宗藤純子(むねとうじゅんこ)
藤沢市在住30年。都内私立幼稚園教諭・主任9年を経て保育士・
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・鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」
・「子育ては個(性)育て。己育て」人間教育を軸に行政・
幼小中学生、年齢に応じた「いのち・こころ・からだ」
・保育者向け雑誌「POT」
・株式会社OfficeLadybird代表取締役
◆Web サイト: http://junkomuneto.com
◆子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳
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