湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生がおすすめする絵本のコーナー。
今回ご紹介するのは、今年の干支「トラ」の絵本をご紹介します。
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2022年の寅年はどんな年?
2022年は寅年。その中でも壬寅(みずのえとら)にあたります。
「十二支」はご存知の通り、その年を12種類の動物になぞられたものですね。一方「十干(じっかん)」は、もとは10日間を一区切りとして、1日ずつ名前を付けたものです。それが転じて1~10までを数えるものになりました。
本来『干支』とは、「十干」と「十二支」を組み合わせたものを指します。この12×10=60の干支を経て、生まれてから60年たったときに自分の干支に戻ることを『還暦』というそうです。
ですから、「干支」は、十二支だけでなく、それに十干を掛け合わせて独自の意味合いを持ちます。今年は寅年ですが、寅年というだけでなく、「壬」の意味を持つ年なんだそうです。
「壬」は女性のお腹の中に子どもを宿す「妊」の一部であることから、「生まれる」という意味があります。
また、「寅」はもともと「演」が由来であり「人の前に立つ」という意味合いを持つとともに、演と同じ読みの「延」から「延ばす・成長する」という意味も持ちます。
この2つを組み合わせて「壬寅」には「新しく立ち上がること」「生まれたものが成長すること」という意味が含まれているそうです。
また、今年は36年に一度の「五黄の寅」にあたり、五黄の寅年生まれは「周囲を圧倒するパワー」「強い正義感と信念と行動力」を合わせ持つ強い運勢と言われています。
今年生まれてくる、赤ちゃんたち!楽しみですね。
皆さんのご家族にとって、素敵な年のはじまりになることをお祈りします。
ということで、今回は、私の本棚から寅年にふさわしい「トラ」が登場する絵本を紹介します。
◆とらはえらい 作:五味太郎 出版社:クレヨンハウス
五味太郎さん曰く、「そもそも干支になって活躍するような動物は、はなからえらいのですが、中でも取り立ててトラはえらいのです。特に理由はありません。ただただえらいのです・・・」
寅年生まれの私としては、「ただただえらい!」だなんて、「そのままでいいんだよ」と、まるで自分が褒められているような気分になります。
とりあえずしましまのところが「えらい」、頼まれてもいないのに頑張るところが「えらい」、観察して考えるところも「えらい」。なによりも、そんな自分が大好きなところがまた「えらい」!
えらいところをたくさん見つけてくれます。
「お子さんの良いところ」「自分の良いところ」探しをすると、良い年の始まりになりそうですね。
お子さんと本を読んだ後は、付録のトラを作ってみてください。とてもかわいいですよ!
◆だるまちゃんととらのこちゃん 作・絵:加古里子 出版社:福音館書店
作者の故加古里子さんは
「今度のだるまちゃんの相手はとらのこちゃんです。虎は日本にいない猛獣なのに、十二支のなかにある故か、名前についていたり、寺社のお守りや郷土玩具としても愛好される方が多いようです。
この巻では、そのとらのこちゃんとだるまちゃんが読者に代わってぐちゃぐちゃ泥んこ遊びやトムソーヤーの塀ペンキ塗りの面白さを、衣服を汚さず、親や家の人に叱られないで、実現してくるのが主流となっています・・・」
加古氏は、「未来のだるまちゃんへ」の著書の中で、「だるまちゃんは、人間で言ったら学齢前の5・6歳の男の子。いろんな経験をして、時には失敗をして、そうして怒られては、口をとんがらかして生きている子ども」と書いています。
今年干支のトラちゃんと遊ぶだるまちゃんに子どもの姿を重ねて読んでみると、わくわくが止まりません。
また、子ども達がいたずらや失敗を経験しながら育っていける環境や大人の理解について考えさせられる一冊になるかもしれませんね。
◆おちゃのじかんにきたとら 作・絵:ジュディス・カー 訳:晴海 耕平 出版社:童話館出版
この本は、1968年の初版以来、世界で300万部を売り上げ、最も人気のある絵本作品の一つと言われています。
ソフィーとお母さんが台所でお茶の時間にしようとしていたら、突然、大きくて毛むくじゃらの縞模様のとらが家にやってきました。
そのとらが、礼儀正しく丁寧に、「ごめんください。ぼく、とってもおなかがすいているんです。お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」とお願いしてきたら・・・。そして、そのとらがお父さんの夕ご飯がなくなるまで食べてしまった後、お父さんはどんな方法でソフィとお母さんの気持ちを解決してくれたのでしょう。
絵本を読んだ後に、お子さんと「あなただったらどうする?」といった素敵な対話ができそうな絵本です。
◆ちぶくろさんぼ 文:ヘレン・バンナーマン 絵:フランク・ドビアス 訳:光吉 夏弥 出版社:岩波書店
トラの出てくる絵本といえば、私がまず思い浮かぶのは、岩波出版の赤い表紙の「ちびくろさんぼ」です。トラがぐるぐるまわってバターになってしまう面白さ、ホットケーキを何百枚も食べてしまう結末も、小さいころの私には未知の世界で印象深いものでした。
著者であるヘレン・バンナーマン氏は、医師である夫とともに伝染病予防などの医療活動をするために、インド奥地に長期滞在をしていました。その時に、彼女は避暑地に残してきた2人の子どもたちが寂しくないよう毎週のように手作り絵本を送っていました。その中の一つが友人の目に留まり、インド人の男の子を主人公にした子どもの手のひらサイズで絵本になったのが、「ちびくろさんぼ」です。
「ちびくろさんぼ」は、1899年にイギリスで出版されると、瞬く間に世界中で人気を博しました。日本では、1953(昭和28)年12月10日に第1刷が発行されています。
しかし、「サンボ」という名前には、黒人に対する蔑称の意味が含まれていることや、「ジャンボ・マンボ」という両親の名前は、munbo jumbo都連伍して使われると「わけのわからない呪文・ちんぷんかんぷん」という意味が含まれているなどの理由から日本では、1988年に絶版になってしまいます。
しかし、絶版に至った理由は奥深く、「ちびくろサンボ」絶版を考えるなどの著書が出版される経緯もあり、2005年に瑞雲舎から復刻するに至りました。
現在、「ちびくろさんぼ」は1・2・3シリーズで出版されています。
「ちびくろさんぼ 1」
作:ヘレン・バンナーマン 絵:フランク・ドビアス 訳:光吉夏弥 出版社:瑞雲舎
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「ちびくろさんぼ 2」
作:ヘレン・バンナーマン 絵:岡部 冬彦 訳:光吉 夏弥 出版社:瑞雲舎
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「ちびくろさんぼ 3」
作:こじま よしみ 絵:かも なおき 原案:ヘレン・バンナーマン 出版社:瑞雲舎
どうぞ今年もお子さんと絵本の世界をたくさん楽しんでくださいね。
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ーーー筆者紹介ーーー 宗藤純子(むねとうじゅんこ)
藤沢市在住30年。都内私立幼稚園教諭・主任9年を経て保育士・
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・鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」
・「子育ては個(性)育て。己育て」人間教育を軸に行政・
幼小中学生、年齢に応じた「いのち・こころ・からだ」
・保育者向け雑誌「POT」
・株式会社OfficeLadybird代表取締役
◆Web サイト:http://junkomuneto.com
◆子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳
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