節句飾りの基礎知識
福田屋店長・河原雄一さんに聞いてみよう!
今年もコロナ禍でのゴールデンウィークになってしまいました。
「でも、こういう時こそ、おうちでみんなでできることを大切にしたいですね」と節句人形の老舗、福田屋藤沢本店の河原雄一さん。家族で子供の日をじっくりお祝いする人も増えているといいます。
4月下旬、福田屋本店を訪ねると、お店には、たくさんの五月人形が飾られていました。
「まだ5月人形を見に来られる人が結構います。
母方の祖父母が購入することが多いですが、お子さんのご両親が夫婦でこられて気に入ったものを決めて、じいちゃんばあちゃんに買ってもらうようですね。時期は通常はお宮参りを済ませてから。昨日生まれたから今日買いに来ました、なんていう人もいますが」
購入するのは、節句の1カ月くらい前まで。一般的には3月くらいですが、正月飾りを買うときに一緒に買う人もいるそうです。早い人は10月くらいに来られるお客様もいるとか。1カ月を切っている段階では初節句を翌年に年送りするおうちもあるようです。
「昔は大きい飾りが好まれたのですが、最近は住宅事情でコンパクトなものが主流になってきています。五月人形は「よろいかぶと」が正式のもので、当店ではこちらを買われるお客様が多いのですが、「かぶと」だけのものも多く、どちらを選んでいただいても構いません。サイズダウンと片付けを考えて、収納ケースがそのまま飾り台になるタイプも人気です」
ところでお店では5月5日を過ぎると人形飾は仕舞われるそうですが、おうちでもすぐ仕舞うべき?
「雛人形は早く仕舞うのがいいとされますが、それは女の子は整理整頓の習慣を身につけるという意味合いがあるようです。五月人形は季節感のある飾りもの感覚で長めに出しておくこともあるようです。通常は5月15日くらいが仕舞う目安でしょうか」
では、子供が何歳になるまで飾るものですか?
「そのご家庭によると思いますが、義務教育期間までというのが一般的ですね。女の子の場合は人形を飾ることを喜ぶことが多いですが、男の子はそうでもないようで、外飾りである鯉のぼりを掲げて済ませてしまうお家もあります。そのお家でのやり方で構わないと思います」
家には昔の人形があるのですが…
「五月人形とか雛人形には、厄除の意味合いがあります。人形が、本人の『厄』=災いを引き受けるものなので、本来は引き継ぐものではないのですね。本来なら男の子が2人いれば2体飾るのが正式です」
では、子供が大きくなって、役目を終えた人形は?
「徳川家家宝になっている人形飾りなんていうのもありますから、それぞれのおうち次第なのですが、しまう場所もなくどうしようと思っている方からご相談を受け対応することもあります。近所の神社に相談すれば引き取って供養してもらえますので、一度お話ししてみてはどうでしょう」
そんな五月人形の基礎知識をお聞きしながら、店内を見せてもらいました。
よろいかぶとは、実際の武将が着用していたものが再現されています。福田屋さんの人形作家は本物のよろいかぶとの製作や補修にあたっている職人さん。実際の武具と同じ材質で、ミニチュアで作られたものです。人気の武将は伊達政宗と徳川家康とか。
「例年は、インバウンドで中国とか海外のお客様が、サムライ人形として飾るために買っていくこともありました。昨年はコロナ禍で来店される方も減りました。当店でもネット通販を取り扱ってはいますが、やはり実際に見て、サイズや材質を確かめたいというお客様も増えてきました」
こんな時だからこそ、季節の区切りの「節句」に思いを巡らせてみては。
福田屋人形店・福田屋藤沢本店
〒251-0053藤沢市本町1-3-29
電話 0466-23-3131(代)
営業時間 10:00~19:00
https://www.e-fukudaya.co.jp