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【はぐくむ・つながる・こどもとおとな】第32話 「子どもの権利」を知っていますか?
2024.10.23 #はぐくむ・つながる・こどもとおとな #子どもの権利 #子育て 注目
湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生の子育てコラムです。今回は、大人が意識したい「子どもの権利」をテーマとし、国連で採択された「子どもの権利条約」や「こども基本法」に基づく「こども大綱」についてご紹介します。
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みなさんは、「子どもの権利」をご存じでしょうか? 子どもの頃、そのような権利があるとは知らなかった!という方も多いと思いますが、子どもたちが生まれながらに持っている人権=「子どもの権利」です。この権利は1989年11月20日、「世界中の子どもたちに権利を」と「子どもの権利条約」として国連で採択されました。日本は、1990年9月21日に署名し、1994年4月22日に158番目の批准国(国家として正式に条約に同意したこと)となって、1994年5月22日に効力が生じています。日本は今年の2024年で批准から30年という節目を迎えます。今回は、大人が意識したい「子どもの権利」がテーマです。
子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)とは
子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、世界中すべての子どもたちがもつ人権(権利)を定めた条約です。
1989年11月20日、国連総会において採択されました。この条約を守ることを約束している「締約国・地域」の数は196。世界で最も広く受け入れられている人権条約です。
子どもの権利条約は、子ども(18歳未満の人)が守られる対象であるだけでなく、権利をもつ主体であることを明確にしました。子どもがおとなと同じように、ひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。生きる権利や成長する権利、暴力から守られる権利、教育を受ける権利、遊ぶ権利、参加する権利など、世界のどこで生まれても子どもたちがもっている様々な権利が定められた、この条約が採択されてから、世界中で、多くの子どもたちの状況の改善につながってきました。
出典:子どもの権利条約 | 日本ユニセフ協会 (unicef.or.jp)より
子どもを権利の主体としてとらえ、子どもや若者の声を聴こう!
さて、昨年2023年4月、日本に「こども家庭庁」が発足しました。こども家庭庁の創設と併せ、すべてのこどもと若者が幸せな生活を送ることができる社会を目指す「こども基本法」が施行されました。日本は「子どもの権利条約」を批准したものの、子どもの権利を包括的に保障する国内法が今までになく「こども基本法」は子どもの権利を大切にしよう!という、とても大切な法律となります。
「こども基本法」は子どもの権利条約に定められている最も大切な※4つの基本原則をはじめとする権利条約と、日本国憲法に基づき、子どもがひとりの人間として尊重され、基本的人権が保障されるというルールを、国、自治体、大人たちが、子ども・若者とともに実現していくための法律なのです。
日本もやっと、子どもを権利の主体と捉え、子どもの意見に耳を傾け、子どもをまんなかにおいた、声を反映していく政策づくりがはじまります。子どもや若者の声を聴くことは国や自治体の義務となりました。
◆こどもの意見聴取と政策への反映 こどもの意見聴取と政策への反映|こども家庭庁
◆こども・若者の声を聴く取り組みポイント 【資料5-1】こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン概要版
※ 子ども権利条約の4つの基本原則
1 差別の禁止
すべての子どもは、子どもや親の人種や国籍、性に関して男か女か、あるいはそのどちらでもないか、どんな言葉を話すのか、出身、経済状況や障がいをかかえているかどうか、うまれた時の様子などで差別されることはありません。
2 子どもの最善の利益(子どもにとって一番いいことを考える)
子どもに関係することが決められ、行われるときについては、
子どもにとって最もよいことは何か?を考えなければいけません
3 安全安心に成長する権利(生命、生存及び発達に対する権利)
すべての子どもの命が守られ、安心して成長していく権利があります。もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるように。虐待、体罰、いじめなどから守れ、教育を受けることを保障され、医療、生活への支援などを受けることが保障されます。
4 子どもの意見の尊重(意見を伝え参画する権利)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、
おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮する。
◆参考:子どもの権利を理解しよう | Child Rights Education | 日本ユニセフ協会
条約は全部で54条あり、40条までの部分に権利の内容が詳しく定められています
ユニセフ協会の子ども達むけに第1条~40条までお子さんとみてみましょう!
カードで学ぼう!子どもの権利条約 | 日本ユニセフ協会
こども大綱(たいこう)とは
この「こども基本法」の法律に基づき2023年12月「こども大綱」が作られました。
こども・若者が権利の主体であることを社会全体で共有していくことを重要事項とし、すべてのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すためにつくられたものです。
こどもまんなか社会へとつくり変えていくには、子どもや若者の一人ひとりの意見を聴いて、その声を大切に、子どもや若者にとって、最も良いことは何かを考えて、それを取り組みに反映していくことが大事なポイントです。
大人が中心になってきたこの社会をつくりかえるには子どもや若者の声があげやすい、伝えていい環境にすることが大事なことであると思います。
◆こども大綱推進についてこども大綱の推進|こども家庭庁
子どもに権利や意見させるとワガママになる?
性教育も同じように子どもたちに伝えることは「寝た子を起こすな」というマイナスな言われ方をされてきましたが、性教育は人権教育として、子どもたちに知る権利があります。
ユネスコの提唱する「包括的性教育」では世界では5歳から性について学ぶ機会が教育現場でもつくられています。
子どもの権利も世界中すべての子どもたちがうまれながらにもつ人権(権利)です。決して子どもが何もかも好き勝手な行動をしていいという意味の権利ではありません。子ども自身が権利を知ることによって、自分の気もちや意見をもつことは大事であり、他者も同じように権利があり気もちも意見があることを学ぶ機会にもなります。お互いの意見の違いから理解しあえることは何かも学ぶのだと思います。子どもは一人の人として意見を言うことができて、大人はそれを年齢相応に十分に考慮して適切な対応をしてくことが大切なことなのだと思います。
実際に、大阪の小中公立一貫校の「生きる教育」(大学教授をはじめとする各分野の専門家の方々が協働されて毎年ブラッシュアップし続けている教育プログラム)公開授業に秋に伺わせていただいた時に、小学校3年生が「子どもの権利条約」の授業をしていました。
8時間を要して子どもの権利条約の理解を子どもたちは深めていくそうですが、公開授業の時も、自分にとって大切だと思う権利を選び、グループワークで友達と意見交流しながら価値観の相違や自分自身とむきあう時間になっていました。
「子どもの権利条約」について親子で学ぶ機会をつくりましょう
2024年日本は批准から30年という節目の年で子どもさんと学べるプロジェクトも始まりました。サイトや書籍をご紹介いたします。
◆こどもけんりプロジェクト こどものけんりプロジェクト | 日本ユニセフ協会 (unicef.or.jp)
9月に、ユニセフとこども家庭庁が共催し、「こどものけんりプロジェクト」がスタート! 日本での「子どもの権利」の正しい理解と普及。そして、子どもたちのウェルビーイング(Well-being:身体的・精神的・社会的に幸せな状態)の向上を目的とした「子どもの権利」の啓発普及キャンペーンです。
◆子ども向けの学習サイト 子ども向け学習サイト | 日本ユニセフ協会 (unicef.or.jp)
◆書籍 きみがきみらしく生きるための 子どもの権利
監修:甲斐田 万智子 イラスト: 林 ユミ 出版社:KADOKAWA
小学生から知っておきたい、きみたち自身の「権利」のこと。
学校に行きたくない、家にいるのがつらい、意見を言いたい、ありのままでいたい…… どんな時にも力になる!
2023年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行されるなど、「子どもの権利」がいま大きな注目を集めています。ですが、「子どもの権利」とはいったいなんなのか、それがどんなふうに子ども自身に、そしてすべての大人たちに関係しているのか、知らない人が多いのではないでしょうか。本書は「子どもの権利条約」の条文の内容をイラスト入りでわかりやすく解説すると同時に、困ったときの相談窓口情報や、SDGsとの関係、子どもの権利のための様々な取り組みやデータなども紹介した、小学生から学んで使える「子どもの権利」の入門書です。全ページカラーでイラストもたくさん入っており、総ルビのため、小学校中高学年からひとりで読むこともできます。子どもはもちろん、子どもに関わる全ての大人にも読んでほしい1冊です。(出版社より)
◆ こどものけんりのほん絵本
作: 子どもの権利・きもちプロジェクト
絵: えがしら みちこ 出版社: 白泉社
コロナ下で生まれた子どもの権利の絵本『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』(ひだまり舎)の製作チームから、あらためて結成されたプロジェクト。子どもと大人に「子どもの権利」の視点を広めることをこころざし、ワークショップ、絵本、アート、シェアリング、対話などさまざまな形で、メンバーの個性とスキルを活かした活動を行う。
子どもの権利・きもちプロジェクト | Twitter | Linktree
最後に、ご家庭から今一度、子どもの声を聴いてみることを意識していただくことを願います。
―――筆者紹介 ―――宗藤純子(むねとうじゅんこ)
藤沢市在住約30年。幼稚園教諭・保育士・子育て・家庭教育アドバイザー
帝京短期大学こども教育学科非常勤講師
【詳細】
・乳幼児期から思春期までのこども・家庭教育・支援に約30年以上従事。産前産後からのあたたかなまなざしとふれあいと絵本を通じて「肌と心へのタッチ」の大切さ。子どもは「ひとりの人」であることを伝え続ける
・「子育ては個(性)育て。己育ち」人間教育を軸に行政・企業/NPO・PTA家庭教育主催講演講座、教育現場・子育て支援での保護者向け勉強会など講演講座も多岐にわたり多数。2009年より幼小中高生への心が生きる「いのち・こころ・からだ」の話を継続
・地域での支援サークル・親子活動・3歳児保育活動等長年主宰し、斜めの関係のつながりと支援を継続。2010年「神奈川県かながわ子育て支援大賞・奨励賞」受賞
・元鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」開院から閉院12年間、外部講師として「こんにちは赤ちゃん」事業、妊娠前講座・思春期講座・大人女性・更年期講座等携わる
・保育者雑誌寄稿等担当/2023年「乳児保育Ⅰ・Ⅱ」豊かな乳児保育をめざして(アイ・ケイ・コーポレーション)分担執筆刊行
・現在湘南WEBサイトaicco【あいっこ】寄稿/「湘南える」新聞にて子育てアドバイス
・株式会社Office Ladybird代表取締役
宗藤純子HP https://junkomuneto.com
MAIL j.officeladybird@gmail.com
子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳 https://ameblo.jp/piyopiyostaff/