クロマツプロジェクト進行中!
辻堂をクロマツで盛り上げたい
「柴松のくずのしげみに妻こめてとなみが原に牡鹿鳴くなり」
平安末期の歌人・西行法師にも詠まれた辻堂の「根上の松」。街道沿いに生えていたクロマツ林は、辻堂の原風景だといいます。それを蘇らせようという「クロマツプロジェクト」をスタートさせたのが岡部真久さん。
岡部さん 中学くらいの時、建築工事で20本くらいのクロマツがバッサリ切られて、そこにあった秘密基地もなくなって心が痛んだことを思い出します。
コロナ禍で経済が停滞したことで、環境が改善されたんじゃないでしょうか。世界中でCO2の排出が減り、空が青くなったり川がきれいになったり。私も地元にいる時間が長くなって景色に目が行くようになり、今まで見えなかったもの、無くしてしまったものが改めて見えてきました。そこで辻堂にクロマツの景観を取り戻そうと。
地元辻堂生まれで、現在は「ランドスケープアーキテクト」として緑の側面から建築のあり方を提案するのが本来のお仕事。もともと庭園などの設計を行っていた岡部さん。植木屋さんとの繋がりがあり、クロマツの苗木を仕入れて販売することを思い立ちます。
プロジェクトをいかに広げ、クロマツを増やす方法を模索していた時、実現にむけて大きな力となったのが、岡部さんのかつてのバイト仲間だった横山寛さん。拠点となっている施設「ニュー公民館TSUJIDO」を2020年11月にオープンさせました。
https://www.instagram.com/new_comincan_tsujido/
横山さん 「公民館」と名付けたので公共の施設と間違われたりもしました(笑)。勤めの傍ら、週2回水、木曜日はニュー公民館の運営を。それ以外の日にも、イベントやシェアスペースとして貸し出しています。ヨガの教室をやったり、特産品とコラボしたり。夢を実現してもらう場所なんです。
岡部さん ニュー公民館オープンに際し、最初のクロマツの苗を、玄関先に植えることにしたんです。日本全国の植木屋さんを回って、イメージに合う木を探しました。
ここでクロマツの苗木と観葉植物のセット販売を行っています。4月に第1回の販売会を実施、急遽開催したのでバタバタの実施でしたが、近所の住民の人たちが来てくれました。6月27日(日)に第2回を開催します。
岡部さんの発想力と、横山さんの拡散力がミックスされて結実したプロジェクト。
ところで、クロマツの苗を買った人たちは、一体どんなふうに育てているのでしょう?
岡部さん 庭に植えてもらうのが理想ですが、無理ならプランターでもいいんです。3mくらいの大きさになったら、街路樹として植え替えてもらうことを考えています。いわばクロマツの里親になってもらう感じですね。役所との連携も必要になってくるでしょう。これからの作業ですが。だからマンション住まいの人にも取り組んでほしいですね。
木は、切っちゃダメだ、という感覚があるでしょ。クロマツは大木になりますが、古くなれば元気でなくなって、枯れてやがて倒れてしまう。そういう危ない木になる前に切ることは、必要なことだと思います。少し前に若い木を植えておけば、世代交代を図ることができます。クロマツが更新されながら風景は残り続けるんです。
切った木は、燃やしてしまうとCO2排出になりますが、丸太にして公園に敷き詰めたりすれば炭素の固定になります。それを地元の人が一緒になって遊びながら作業すればワークショップになります。
横山さん 辻堂でやるSDG’sなので、ツジドーG’sなんて言っています。
岡部さん そのようにして、クロマツを街並みに反映させていきたい。クロマツのロゴを募集して、オシャレなTシャツを作ったりして、木を植えられない人にもクロマツを意識してもらうことを考えています。辻堂は、暮らしたい街ランキングで上位に入るなど、人気の場所ですが、クロマツでさらに街のブランディングをしていきたいですね。
ニュー公民館TSUJIDO
〒253-0013 茅ヶ崎市赤松町5−28